公益社団法人 日本水環境学会
日本水道新聞掲載コラム > 水環境懇話会 活動成果

連載 水環境懇話会の活動と成果

〈最終回〉水環境懇話会の歩むべき道とは

日本水環境学会産官学協力委員長 初又 繁氏
能動的な活動へ進展

 ■水環境懇話会の活動を振り返って

 私は、平成21年から産官学協力委員長を務めさせていただいております。
 水環境懇話会が立ち上がってから10年が経過しました。当時の委員長および幹事の皆さんが大変ご苦労された結果、掲げられた運営方針と精神は、現在の幹事各位に脈々と受け継がれ、若手中心に参加者のネットワークが広がってきたことに加え、時代の要請に沿って講演テーマも多様化してきております。また、参加者数も毎回20名以上をキープできるくらいに活気を帯びており、産官学協力委員会としてだけでなく、日本水環境学会のイベントとして、意義の認識が浸透し、位置づけは確立されたと認識しております。

■今後の水環境学会における産官学の連携方策

 これまでの年会、シンポジウム、セミナー、研究委員会などは、大学等の教育機関に所属する正会員や学生会員、すなわち「学」の会員を主たる対象として企画されてきた傾向は否めません。
 また、本学会の重要な活動の一つである各種表彰も、水環境文化賞と技術賞以外は、受賞者のほとんどが「学」の会員でした。理事会、運営理事会、運営幹事会等にも団体会員(特に民間企業)の方は必ずしも多くはありません。
 もちろん学会である以上、学術的な活動を「学」がしっかりと支えていく、ということが普遍的な真実である一方で、水環境の保全と創生を実践していくべき立場としての「官」と「民」の関わりは絶対不可欠であり、かつ「学」「官」「産」の連携が非常に重要であります。なお、これは学会全体の共通認識であり、すでに産官学連携のプログラムや、「官」と「産」のプレゼンスを高めるための方策がいくつか施行されつつあります。この流れの中で、まさに産官学の隔たりのないディスカッションならびに協働を体現してきた水環境懇話会のアクティビティに対し、あらためて期待する部分が大きくなっているのも事実だと思います。

■水環境懇話会が果たすべき役割、今後求められる展開

 現状の水環境懇話会は、どちらかというと「水環境分野における政策や技術等の最新動向に関する情報・知識の獲得と意見交換」という、やや受動的な活動に止まっているかもしれません。もちろん、このフェーズなりに参加された方々には、そこで得られた知見の価値に相応の評価をいただいていると思います。
 しかしながら今後は、本懇話会における産官学それぞれの視点による、かつ実務レベルに基づく非常に有意義な討論を、懇話会の場だけで終わらせることなく、「学会が取り上げるべき新たなテーマの抽出」や「産官学連携の在り方の具体的提案」等、論議の成果物につなげる形で有効に活用し、よりオープンで能動的な活動フェーズにステップアップすることが肝要かと思います。
 皆さま方におかれましては、今後とも日本水環境学会ならびに水環境懇話会へのご支援、ご指導を賜りたく、この場をお借りしてお願い申し上げます。

(メタウォーター株式会社CSR本部副本部長)

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