公益社団法人 日本水環境学会
日本水道新聞掲載コラム > 水環境懇話会 活動成果

連載 水環境懇話会の活動と成果

〈第4回〉わが時代の活動③

幹事 鎌田 素之氏
会の良さ実感してほしい

 私が水環境懇話会(以下、懇話会)に参加することになったのは、平成16年2月に第3回の懇話会で話題提供したのがきっかけでした。改めて過去の記録を調べてみて、もう10年も経つのかと驚くばかりです。懇話会の設立に尽力された田畑さん(いであ株式会社)に話をしてよと言われて、当時の研究内容をまとめて話をさせていただきました。10年前の話なので、自分が話した内容は良く覚えていませんが、一緒に話題提供させていただいた加藤さん(当時、国土交通省下水道部)と懇話会後の意見交換会(飲み会)でいろいろ話したことはよく覚えています。
 話題提供後、学の立場で懇話会に関わる人がいなかったこともあり、運営にも関わるようになりました。当時、私は国立保健医療科学院でポスドクをしており、そのつながりから水質問題研究会に何度か参加させていただきました。長く続いてきたこの会に参加して、いろいろな勉強させていただくことも多かったですが、この業界に関わる方々の一体感や仲間意識のようなものを感じました。私は数えるほどしか参加しませんでしたが、この会の縁が今の仕事のいろいろなところでも活きてきています。 懇話会の運営に関わるようになり、諸先輩方が良い関係を築かれてきた水質問題研究会を参考にしつつ、自分たちのニーズに合った会を作っていければと考えたように記憶しています。
 懇話会は日本水環境学会の産官学協力委員会に属しているわけですが、当時の運営を振り返ると、良くも悪くも学会の運営のことはあまり考えず、自分たちが話を聞いてみたい人、興味があることを見つけてきて話題提供をいただくような感じでした。この辺りは会の設立に尽力いただいた伊藤光明氏(当時、日本水環境学会産官学協力委員)らのサポートがあったからできたと思いますが。
 そのような環境で活動できこともあり、第4回では熊谷さん(当時、環境省水・大気環境局水環境課)に話題提供をいただき、その後も何度も話題提供をいただいています。特に、熊谷さんからはここでしか聞けないような貴重な話を提供していただきました。懇話会はこれまで36回開催されていますが、熊谷さんに提供いただいた特別企画「水ビジネスと国内外マーケット」は土曜日の開催にもかかわらず多くの参加があり、最も印象に残っています。
 当時の参加者は産の方が多かったこともあり、国の研究機関や大学の方から話題提供をいただくケースが多かったですが、比較的少人数で本音の話ができたことやほとんどの話題提供者の方が懇話会後の意見交換会にも参加いただいたことから、いろいろな議論ができたのはこの会ならではのメリットです。懇話会が立ち上がってすでに10年以上が経過し、懇話会の運営に関わる人も変化していますが、この部分は変わらない点だと思います。
 少し話は変わりますが、私は数年前から日本水環境学会に運営幹事として関わっています。どこの学会も抱えている問題ですが、会員数の減少が学会運営上の重要な課題となってきており、日本水環境学会でも会員増強が議題として上がることがありますが、なかなか有効な対応策が見いだせないのが現状です。
 本紙の読者である水道に関わる皆さんは学会というとどうしても敷居が高く、年会も含めなかなか参加いただけないケースもあるように聞いています。懇話会は平日午後に開催されるケースが多く、なかなか水道関係の方には参加いただけないのですが、「この話は聞きたかった」とわざわざ有給を使って参加してくださる水道関係者の方もいます。
 学会が持続的に活動していくためにはメリットを実感する必要があると思いますが、オープンで自由な雰囲気で懇話会が継続し、新しい参加者が増えて、その良さを実感してもらうことが地道ながら水環境分野の連携や学会の発展につながっていくのではないかと考えています。
 このところ懇話会の開催頻度が少し落ちていますが、内容はより充実し、参加者も多く盛会が続いています。興味のある方は気軽に参加いただき、良さを実感してみてください。

(関東学院大学理工学部理工学科准教授)

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