公益社団法人 日本水環境学会
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連載 水環境懇話会の活動と成果

〈第6回〉懇話会との関わり

富山県生活環境文化部次長 熊谷 和哉氏
産官学の価値ある議論が

 北海道大学衛生工学会で田畑さんにお会いした際にお声がけいただき、一度、講師で呼んでいただいて以来のお付き合いです。3回ぐらいと思いきや記憶とは怪しいもので、講師側だけで5回も登場していました。初回は平成16年の第4回で、もう10年前の話で年齢を感じずにはいられない、微妙な感覚にとらわれます。17年、20年、22年、23年、よくもまあこれだけ話すことがあったものだと感心もしたりします。
 この中で印象的だったのは初めて参加した16年の回、いわゆる水道民営化、英仏の民営水道の話と22年の水ビジネスの話です。特に後者は、夏休みの期間に、セミナーの形式をとってパネルディスカッションのパネラー推薦までやったので強く印象に残っています。どちらも広義の官民連携の話で「産官学」の交流を図る本会に少しばかりでもお役に立っていればと思います。
 「産官学」――よく聞く言葉ではありますが、なかなかその実、これらの言葉が違う人種同士が集まって、本当の意味での議論になることは実に稀です。残念ながら言葉が違うこと、なかなか通じていないこと、それそのものに自覚的であることすら心もとなく、お互い自らの分野のことを言いっ放しで終わっているという残念なものが少なくありません。それが心ある方々が集まれば、意味ある、参加の価値ある会になることをこの会をもって知りましたし、そこに参加させてもらえることに本当に感謝しています。
 産官学ともなかなか余裕のない今日。このような多岐にわたるテーマを扱えば扱うほど、直接的な参加の理由付けは難しいものですが、それだからこその存在意義のような気がします。残念ながら、自らの知識の幅を持たせる機会がありそうでない、そういった現状の中で、こういった知識を広げる機会とそこへの参加は、将来への自己投資になると思っています。
 水のつながりとか水環境、水循環などと言われるものの、残念ながらそこに関与する人間はますます個別〝部門化〟し、専門化と言えば聞こえはいいですが、一方でタコツボ化しているように思えます。水環境をキーワードにしても、これだけさまざまな領域があることを、水環境懇話会の各回のテーマが教えてくれるような気がしますし、少なくとも私は教えられています。
 さまざまな事情を抱え、残念ながらしばらく来ないなあという方もあり、また、一方で適度な新陳代謝、メンバーの顔ぶれの変化があります。新規参加、離脱、復帰等々、その自由さと適度な規模感もまた、この会の魅力でもあるように思います。
 事務局を担う、担った歴代の方々は本当に大変だったと思います。これから先も細く、長く、無理せず続いていくことを願っています。さすがに、東京を離れた遠い富山にいる身になると参加もなかなかかないません。また、若手懇話会に参加する歳でもなくなっている私としては、微妙な感覚もありますが、お邪魔にならない程度に参加させていただければと思っています。

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