公益社団法人 日本水環境学会
産官学協力委員会 活動履歴

会員構成

1. はじめに

産管学協力委員会では、廃水処理や造水技術等に関する見学会を開催しております。本見学会では、公共施設だけでは無く、通常では見ることが困難な民間施設の見学会を開催しており、実用化技術に関する情報を広く得ることができます。
20年度は、10月17日(金)に東京都下水道局芝浦水再生センターおよびしながわ水族館にて、見学会を実施いたしました。

2. 芝浦水再生センター

昭和6年より稼動している本センターは、千代田区・新宿区・渋谷区等の東京都の中心部を処理区域とした、処理能力91万m3/dの処理施設です。本施設は、特徴として、再生水の利用促進、下水道の熱利用、高速ろ過などの施設があります。
高速ろ過では、雨天時の合流下水を短時間でろ過する施設で、担体を利用して汚濁物質をろ過します。濾過槽の下部に、汚泥濃縮槽が設置された省スペース型の施設で、深さ35mもある深槽型の施設が特徴です。
また、下水の処理水は有効な水資源であり、高度処理をした後、中水などに利用することが進めています。芝浦処理場では、オゾン処理や膜ろ過処理を行い、きれいな再生水を生み出しています。この水は品川、新橋、永田町周辺に送られ、現在約5000m3/dを供給しております。下水処理水の再利用はニーズが高まっており、今後、増産する方向とのことです。見学会の参加者からは、高度処理に関する処理条件など、活発な質疑が行なわれました。
さらに、下水処理水は年間を通じて水温が安定していることから、空調機などの冷却水として利用することが可能です。隣接するソニービルの空調設備には、下水処理水を利用した熱交換をおこなっており、エネルギーコストを削減した新しいシステムをサポートしています。

3. しながわ水族館

水族館での海水および淡水の水質管理について、説明を頂きました。海水の採取については、残念ながら付近の海水は利用できないため、紀伊半島沖で採取した海水を利用しているそうです。この海水は、船舶のバラスト水として採取された海水で、年間使用量は約8000m3。淡水魚の飼育は上水を利用しているそうです。
水の浄化方法は、砂ろ過法で、各水槽ごとにろ過装置が設置されています。
水質管理は発泡や色などを常に担当者が管理し、必要に応じて水質分析を行なっています(1回/月以上)。 なお、水族館で使用した廃水は沈殿処理を行い、上澄みを河川・海洋に放流しているそうです。
さらに見学会では、水族館で飼育している魚の“餌の調理室”まで見学させていただきました。ポイントとして、油の少ない魚を餌とするそうです。我々の食する魚は脂が乗った方がいいですが、水族館の魚は健康のため、油がのらない方がいいそうです。

芝浦水再生センター屋上より

写真1 芝浦水再生センター屋上より

水族館内での説明

写真3 水族館内での説明

オゾン処理装置

写真2 オゾン処理装置

水槽裏の廃水処理設備

写真4 水槽裏の廃水処理設備

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