公益社団法人 日本水環境学会
日本水道新聞掲載コラム > 水環境懇話会 活動成果

連載 水環境懇話会の活動と成果

〈第7回〉わが時代の活動⑤

元代表幹事 原 宏江氏
刺激的な出会いの場

 平成22年9月、大学院博士後期課程への進学のため、3年半お世話になったいであを退職すると同時に、ほぼ同じだけの期間、幹事・代表幹事として関わらせていただいた水環境懇話会の活動を離れました。思い返せば、初めて水環境懇話会に参加したのは、入社後間もない19年7月のことで、当時、水環境懇話会の上部組織である産官学協力委員会の担当理事で、また大学の大先輩でもあった、伊藤光明さん(当時・いであ取締役経営情報室長)にお話をいただいたことがきっかけでした。
 懇話会では、本編の講演会以上に親睦会での意見交換が盛り上がるという事態が往々にして起こるわけですが、私の懇話会最初の思い出も、目黒川沿いのトム・ソーヤの家のようなお店の階段下の天井の低いスペースに、代表幹事を引き継いだばかりの馬場美央さん(東京設計事務所)、幹事の鎌田素之先生(関東学院大学)・小舩井千恵さん(当時・日本上下水道設計)と身を寄せ合うように座り、懇話会の今後の展開について先輩方が議論されているのをワクワクしながら聞いたことです。
 事実、当時は懇話会におけるひとつの進化の時期で、先代の幹事の皆さんが作り上げてきた骨組みに肉付けをするような作業を代表幹事である馬場さんが積極的に推進されたと感じています。ホームページが整備され、そこから過去の開催状況も写真や文面で閲覧していただけるようになりました。
 イベントの開催頻度を増やすとともに、見学会を織り交ぜ、開催間隔もできるだけ定期的なものにして、会の認知度を上げる、参加者の裾野を広げることにも注力されました。
 私自身は先輩たちの後について教えていただくことばかりでしたが、この時、馬場さん・小舩井さんという同世代の女性のパワフルな仕事ぶりを間近に目にすることができたことは非常に貴重な経験となりました。
 また、わざわざ休日に時間を作って、もしくは、平日に上司にかけあって懇話会に参加して下さる若手の方は、自分の仕事や業界の抱える課題に対する意識の高い人が多く、そのような参加者の方々から刺激を受けることも多々ありました。
 懇話会で過ごした最後の1年には、代表幹事を務める機会もいただきました。この頃までには井上大輔さん(メタウォーター)、豊岡和宏さん、辻野雅子さん(明電舎)、阿部芳久さん(鹿島建設)、馬場さんに代わって中園隼人さん(東京設計事務所)と、フレッシュな面々から頼もしいベテランの方まで数多く幹事に加わってくださっており、私は皆さんの胸をお借りして好きなことをやらせていただくだけでした。
 特に無理を聞いてもらったのは、第26回水環境懇話会として初めてパネルディスカッション(副題水関連事業の国際展開と産官学連携)を開催した時です。熊谷和哉さん(当時・厚生労働省健康局水道課)の全面的なご協力の下、海外の水関連事業の最前線で活躍されている方々をパネラーとしてお迎えして、貴重なお話を共有していただけた上、産官学各分野から50名に及ぶ参加者の皆さんにお集まりいただくことができました。懇親会もそれぞれに話がはずんだようで、笑顔でお帰りになる参加者の皆さんをお見送りできた時の充実感は今も忘れられません。
 このように、私にとって入社当初からの水環境懇話会への関わりが、自らの視野を広げてくれ、また、日々の業務に対する士気を上げてくれたことは間違いありません。同じもしくは近しい業界ながらも異なる立場の人と交流するからこそ新発見することもあります。
 今後も、水環境懇話会が若手の皆さんにとって刺激的な出会いの場であることを心から願います。若手の技術者・研究者の皆さん!水環境懇話会では水環境に関連してさまざまなテーマを取り上げていますので、機会を見つけてぜひ足をお運びください。

(中央大学理工学部兼任講師)

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