公益社団法人 日本水環境学会
会長挨拶

会長挨拶

会長をお引受けして ~3つのアクション~

2013年7月

公益社団法人日本水環境学会 会長 迫田章義


 このたび歴史ある日本水環境学会の会長をお引き受けすることになりました。歴代の会長はいずれも水環境分野で独自の研究分野を開拓されて大きな業績を挙げられたと共に、各位が独特のカリスマ性をお持ちでオーラを発しておられたように思います。そこで小生などに大役が務まるのかと悩みましたが、長年お世話になった日本水環境学会への恩返しの一環として、全力で取組むことと致しました。

 さて、本学会では会員の皆様へのサービスの向上あるいは近代化のために、各種の手続き等の電子化、機関誌の電子ジャーナル化などを、数年前から計画的に進めてまいり、この運営管理システムはほぼ完成したと考えております。また、平成24年度には公益社団法人日本水環境学会へと生まれ変わりました。すなわち、平成24年度をもってアクションを起こすための「仕組み」の補強や補完はほぼ出来上がったと言えると考えています。つまり、平成25年度は、アクションを起こす時です。そこで、具体的な「3つのアクション」を提案させて頂こうと思います。この「3つのアクション」の大筋は、長年に渡って本学会の同世代の方々らと議論を重ねてきたことです。


1)東南アジアの開発途上国との連携プラットフォーム作り

 東南アジアのASEAN諸国との連携の一層の強化に努めたいと思います。すでに、多くの本学会の正会員、団体会員の方々は、ASEAN諸国等でご活躍です。既存の人と人との繋がりを本学会という仕組みの中で可視化したいと思っています。本学会には現在7つの支部があります。これらに加えて、各国にミニ支部を構築していくというようなイメージを描いています。このことは本学会、しいてはわが国の存在感の向上につながり、若手研究者・技術者の交流や団体会員のビジネス等に大きく貢献すると考えられます。このようなプラットフォームの構築は容易ではありません。そのための種をまき芽を出させたいと思います。

 また、上述の最終目標を見据えた第一歩となる具体的な企画のひとつとして、本学会の伝統ある日韓水環境シンポジウム、日中水環境シンポジウムに続くような、たとえば日越(日本・ベトナム)水環境シンポジウムを、できれば平成25年度に開催したいと考えております。


2)団体会員へのサービス向上

 団体会員に一層愛される学会をめざしたいと思います。これまでの年会、シンポジウム、セミナー、研究委員会などは、大学等の教育機関に所属する正会員や学生会員、すなわち「学」の会員を主たる対象として企画されてきたと言えなくもないのではないでしょうか。本学会の重要な活動のひとつである各種の表彰も、水環境文化賞と技術賞以外は、受賞者のほとんどが「学」の会員でした。理事会、運営理事会、運営幹事会等にも団体会員(特に民間企業)の方は必ずしも多くはありません。これを改めて、もう少し視野を団体会員に向けた運営に取組みたいと思います。

 このための具体的な企画のひとつとして、新たに特に民間企業の団体会員に所属する若手研究者・技術者の先駆的な技術開発を対象とした賞(たとえば、「技術奨励賞(仮称)」)を新設することも検討したいと思います。また、各種の研究委員会が積極的に団体会員を取込むような仕組みを作りたいと思います。


3)復興支援の一層の推進・強化

 大震災のあと、本学会でも会誌に特集号を組むとか、セミナーを開催するなどして、復興支援にはできるだけの貢献をしてきております。しかしながら、現実として復興はまだまだです。放射性物質による環境汚染の除染が未だほとんど手つかずの自治体もあります。このような状況において本学会は何をすべきで何ができるでしょう。

 一方で、多くの本学会の会員が省庁あるいは国の研究機関等から受託や補助金という支援を受けて、地震、津波、そして放射能汚染からの復興に貢献する研究開発を進めておられます。そこで、具体的な企画のひとつとして考えていることは、公開されるであろうそれらの研究成果を整理整頓し、具体策を抽出すべく再編成し、復興加速策を提案・進言することを考えております。

 また、次回の年会は東北大学で開催予定です。このことを意識した公開シンポジウムを本部企画として組みたいと考えております。



 会員の皆様のご理解とご協力を、こころよりお願い申し上げます。

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