公益社団法人 日本水環境学会
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2022年度活動報告

1. 研究委員会名
生物膜法研究委員会
2. 会員数
13名
3. 主な活動内容
第25回日本水環境学会シンポジウムにおいて「生物処理生態工学技法の高度効率化による環境再生保全と流域適正管理」と題するセッションを開催した。
生物膜法研究委員会で得られた成果については、NPO法人バイオエコ技術研究所の各種資料、国立環境研究所の各種資料、産業用水調査会をはじめとする出版物などに引用しているが、生物膜法等水処理・環境水浄化技術の研究成果をとりまとめた形で公表している。また、Springerから出版された「Microcosm Manual for Environmental Impact Risk Assessment」を生物膜法等の環境リスク評価のためのマニュアルとしてかつ安全性評価の方策として、本技法の展開を図っている。更に、生物膜法を広い意味の生物処理法の重要な位置づけにあると解釈した上でアジア展開を図って来ている。猪苗代湖流域などへの窒素・リン除去方式の高度処理浄化槽の整備管理技法構築のための展開を行っている。
 生物処理法としての生物膜法は、水環境修復技術として極めて重要な位置付けにあることを踏まえ、高度処理浄化槽、電力削減省エネルギー有機性排水処理システム、生物膜の原理を活用した沈水植物浄化システムをはじめとする機能調査、構造・維持管理について調査研究を継続して実施している。水処理に係る企業と連携して、省エネルギー・窒素リン除去・温室効果ガス削減・発生汚泥のバイオマスリサイクルなど生物膜法の原理を応用した流域対策の強化を図っている。「環境省アジア水改善モデル事業」における水環境修復のベトナムへの技術移転は省エネ・高度処理に中核となるものであり、国際的な研究開発として進展しているところである。本事業は環境省において極めて高い評価を受け更なる開発途上国展開の基盤が構築でき、新たに下水処理場で電力削減分を収益とする環境再生省エネ技法も展開しつつある。これらの成果を踏まえ、ETV(Environmental Technology Verification:環境技術実証)を基盤として、AOSD(Automatic Oxygen Supply Device)システムの展開を強化している。
環境省:環境インフラ海外展開プラットフォームでの国際展開を強化してきている。国際的な展開として国内およびベトナム、中国等における方向性は、生物膜法研究委員会で検討した自動制御生物相安定化電力削減高度化AOSDシステム処理技術等が新技術として活用開始され、水環境修復に貢献しつつある。同時に、沈水植物浄化技法について、『いさはや新池』などでの導入による生物膜の原理を活用した生態工学水質浄化技法の展開を、水上太陽光発電を目途とした太陽光パネル下の沈水植物の遮光下の成長特性解析を含めて取り組んでいる。
4. 今後の予定
 第26回日本水環境学会シンポジウムにおいて、「環境再生保全のための水循環および資源循環における高度化適正方策」と題するセッションを開催する。
 微生物生態系からなる生物膜法等を活用したシステムにおける、生物反応に必要とされる必要酸素量を最小限にするISO国際標準を取得したAOSDシステム技術、電力削減・温室効果ガス削減・水質の超高度化、汚泥の減量化農業有効利用方策等のコベネフィット型技法の普及展開を民間企業等と連携して図り、水環境再生保全のシステム技法を国内外に定着させることを重要な位置づけとしていくこととする。なお、微曝気撹拌時の電力使用量を加え「電力削減率を60%」と設定すると、安定した水質を維持できると共に大きなコストメリットが試算され、驚異的成果が得られ、生物膜法でのさらなる展開を図ることとする。同時に、生物反応の高度効率化のために、経験と勘に頼るマニュアル法の限界を踏まえて自動制御の導入を強化推進し、環境省:環境インフラ海外展開プラットフォームでの国際展開を強化していくこととする。
 SDGsに貢献する水生植物の緑肥化、バイオマスの炭化によるバイオ炭化を踏まえたCO2の土壌貯留、再生可能エネルギーとしての水上太陽光発電において、遮光下で成長可能な沈水植物との共生による地域エネルギー生産と環境再生保全両立化などの研究開発を推進する。
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